G70仕上げサイクル:荒加工の形状を再利用して仕上げ工具で仕上げる
G70仕上げサイクルがG71・G72・G73のP〜Q形状ブロックをどのように読み直すのか、形状内のF・Sがいつ適用されるのか、工具交換を挟む実務の手順を、円弧を含む例で説明します。
G70は形状を新しく書かない
G70 P_ Q_は、プログラム内にすでにあるシーケンス番号PからQまでのブロックをそのまま一度たどる仕上げ指令です。荒加工サイクル(G71、G72、G73)が同じブロックを基準に仕上げ代を残して削ってあるので、G70は残った仕上げ代だけを取り除いて最終寸法を作ります。
つまりG70自体には形状の座標がありません。形状を直したいならP〜Qブロックを直す必要があり、そうすれば荒加工と仕上げが一緒に変わります。1か所だけを管理すればよいことが、この構造の最大の長所です。
G70で使われる送りと主軸回転数
荒加工サイクルの実行中は、P〜Qブロック内のF、S、Tは無視され、サイクルブロックのFが使われます。反対にG70を実行するときはP〜Qブロック内のF・S・Tが適用されます。例では、荒加工はサイクルのF0.3で、仕上げは形状2行目のF0.1で行われます。
形状ブロック内にFが1つもなければ、G70は直前のモーダルなF、つまり荒加工で使っていた送りをそのまま引き継ぎます。仕上げ面の粗さが期待より悪い場合は、まずここを確認してください。
実務の手順:荒加工 → 退避 → 工具交換 → 仕上げ
荒加工工具T01でG71を行い、仕上げ工具T03に替えてG70を実行
O2004
T0101
G21 G90 G18 G40 G99
G50 S2000
G96 S160 M03
G00 X46. Z2.
G71 U2. R0.5
G71 P100 Q200 U0.5 W0.05 F0.3
N100 G00 X16.
G01 Z0. F0.1
G03 X24. Z-4. R4.
G01 Z-18.
X32. Z-24.
Z-36.
N200 X46.
G00 X150. Z100.
T0303
G96 S220 M03
G00 X46. Z2.
G70 P100 Q200
G00 X150. Z100.
M30上図はこのプログラムをCNC Path Analyzerで解析した結果です (早送り 29 区間, 直線切削 13 区間, 円弧 1 区間).
例で注目すべき点
G50 S2000は、周速一定制御(G96)で直径が小さくなるときに回転数が際限なく上がらないよう、最高回転数を2,000rpmに抑えます。- 荒加工が終わったら、
G00 X150. Z100.で工具交換位置まで大きく退避します。刃物台が旋回するときに素材やチャックに当たらない位置でなければなりません。 - 仕上げ工具
T0303は周速をS220に上げています。仕上げは切込みが浅いので、より高い切削速度を使えます。 - G70直前の
G00 X46. Z2.は、荒加工サイクルの始点と同じ位置です。別の位置から始めると、仕上げ後の復帰位置も変わります。 - 形状の
G03 X24. Z-4. R4.は端面側のR4の丸みです。仕上げ工具の刃先R補正(G41/G42)を使わないと、丸みとテーパ部分の寸法が刃先半径の分だけずれます。
G70でよく起きる問題
| 状況 | 理由 | 対処 |
|---|---|---|
| G70でシーケンス番号が見つからない | P/Q番号の打ち間違い、または形状が別のプログラムにある | N番号と、同じプログラム内での位置を確認 |
| DNC運転でG70がアラーム | テープ・DNC運転では、すでに通過したブロックに戻れない場合が多い | メモリ運転で実行するか、仕上げ形状を直接書く |
| 仕上げ寸法が一定して大きい | 仕上げ工具の摩耗補正または刃先R補正が未適用 | 工具補正画面とG41/G42を確認 |
| 仕上げ後の復帰で素材をこする | G70の始点が素材に近すぎる | 始点のXを素材外径より十分大きくする |
仕上げ代U・Wを決める基準
荒加工サイクル2行目の仕上げ代は、G70が実際に削る厚みです。大きすぎると仕上げ工具が荒加工のような負荷を受けて寸法と面粗さがばらつき、小さすぎると荒加工で生じたびびり跡や熱変形を取り切れません。例のU0.5は直径で0.5mm、つまり半径で0.25mmを残します。
よく使われる出発点は、仕上げの切込みが仕上げインサートの刃先半径と同じくらいか、やや小さくなるように決めることです。刃先R0.4のインサートなら半径の仕上げ代0.2〜0.3mm、つまりU0.4〜0.6程度です。Z方向の仕上げ代Wは、端面が短く工具が横刃で削ることになるため、通常Uより小さくします。例はW0.05です。
| 仕上げインサートの刃先R | 半径の仕上げ代の例 | 2行目のUの例 |
|---|---|---|
| R0.2 | 0.1〜0.15mm | U0.2〜0.3 |
| R0.4 | 0.2〜0.3mm | U0.4〜0.6 |
| R0.8 | 0.3〜0.5mm | U0.6〜1.0 |
G70を使わずに仕上げる場合
形状ブロックがサブプログラムに分かれている場合や、仕上げだけを別の工程に移す必要がある場合は、G70の代わりに仕上げ経路を別に書くこともあります。この場合は荒加工の形状と仕上げの形状を別々に管理することになるため、図面が変わったら両方を直さなければならない負担が生じます。CNC Path Analyzerで2つの経路を同じ画面に重ねて見ると、形状の食い違いを素早く見つけられます。