G02・G03円弧補間:向きの判別とR指令、I・J・K指令の違い
G02(時計回り)とG03(反時計回り)を平面選択とあわせて判別する方法、R指令の180度問題とI・J・Kによる中心指令、全円加工を、フライスの例と経路図で説明します。
円弧ブロックに必要な3つの情報
直線は終点だけあれば描けますが、円弧はそうはいきません。同じ始点と終点を通る円は無数にあるからです。そのため円弧ブロックには回転の向き(G02またはG03)、終点、そして半径または中心の位置が必要です。
時計回りはどちらから見た基準か
G02は時計回り(CW)、G03は反時計回り(CCW)です。ただし「時計回り」は選択した平面に垂直な軸の+側から-側へ見下ろしたときの基準です。マシニングセンタの基本平面G17(XY)では上からテーブルを見下ろす視線になるので、直感と一致します。
G18(ZX)やG19(YZ)では見る向きが変わるため、画面に描いた図面と向きが逆に感じられることがあります。旋盤は基本がG18ですが、刃物台が主軸中心の上側(後方)にあるか下側(前方)にあるかによって、図面上で見える回転の向きが反転します。旋盤のX軸の表記は旋盤の直径指定とG18で別に扱います。
| 平面 | 指令 | 見下ろす向き | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| XY | G17 | +Zから-Zへ | マシニングセンタの基本 |
| ZX | G18 | +Yから-Yへ | 旋盤の基本、フライスの側面 |
| YZ | G19 | +Xから-Xへ | フライスの側面加工 |
R指令の注意点
G03 X40. Y10. R10.のように半径を直接与えると計算がほとんど要らないため、手書きのプログラムで広く使われます。しかし始点・終点・半径が同じでも、円は2つあり得ます。短いほう(180°以下)と長いほう(180°超)です。
ほとんどの制御装置はRが正なら180°以下、負なら180°超の円弧として解釈します。270°の円弧を描くつもりでRの符号を付け忘れると90°の円弧ができ、工具は見当違いの場所を削ります。また、始点と終点が同じ全円はRでは定義できません。円の大きさしかなく、位置を決める情報がないからです。
I・J・K指令:中心を直接教える
I、J、KはそれぞれX、Y、Z方向の円弧の始点から中心までの距離です。ほとんどの制御装置では、G90のアブソリュートモードでもI・J・Kは始点基準のインクリメンタル値として読まれます。例のG02 X50. Y40. I10. J0.は、始点(40,30)からXに10離れた(50,30)を中心とする半径10の円弧です。
I・J・K方式は中心がはっきりしているので、全円、180°を超える円弧、CAM出力のように精度が重要な場合に向いています。その代わり、終点が実際にその円の上にないと始点の半径と終点の半径が食い違い、差が許容値を超えるとアラームになります。
例の経路
最初の円弧はR指令の反時計回り、2つ目はI・J指令の時計回り、最後のブロックは始点と終点が同じ全円です。3つが1つの経路の中でどうつながるかを図で確認できます。
R指令の反時計回り円弧、I・J指令の時計回り円弧、I・J指令の全円をつないだ経路
O2002
T2 M6
G21 G90 G17 G94
G54
S2500 M03
G00 X0. Y-5. Z5.
G01 Z-1. F80
Y0. F250
X30.
G03 X40. Y10. R10.
G01 Y30.
G02 X50. Y40. I10. J0.
G01 X70.
G02 X70. Y40. I0. J-15.
G00 Z50.
M30上図はこのプログラムをCNC Path Analyzerで解析した結果です (早送り 2 区間, 直線切削 5 区間, 円弧 3 区間).
円弧のエラーを見つけるチェックリスト
- 平面:G17/G18/G19のうち意図した平面が選ばれているか。平面が違えば、同じG02でも別の向きの円になります。
- Rの符号:180°を超える円弧なのにRが正で書かれていないか。
- 終点の一致:I・Jから計算した半径と、中心から終点までの距離が同じか。小数点第3位の丸めの差も積み重なるとアラームになります。
- 工具径補正:G41/G42が有効な状態で内側円弧の半径が工具半径より小さいと、補正経路を作れません。
- 送り速度:円弧の内側を加工するとき、工具中心の速度と刃先の速度が異なります。半径の小さい内側円弧ではFを下げるのが一般的です。
計算練習:R指令をI・Jに書き換える
例のG03 X40. Y10. R10.は、始点(30, 0)から終点(40, 10)までの半径10の反時計回り90°円弧です。反時計回りにこの2点を通る半径10の短い円弧は、中心が(30, 10)にあります。始点から中心までの距離はX 0、Y +10なので、同じ円弧をG03 X40. Y10. I0. J10.とも書けます。
最後の全円G02 X70. Y40. I0. J-15.は中心が(70, 25)、半径15です。円周は2 × π × 15 ≈ 94.2mmで、F250なら1周に約22.6秒かかります。
ツールでの表示
CNC Path Analyzerは円弧を短い直線の断片で近似して描き、向きや半径が合わない円弧ブロックは経路をでっち上げず、原因行とともに警告します。警告行の始点は直前のブロックの終点なので、円弧ブロックそのものより、すぐ上の直線ブロックの座標が間違っている場合も多くあります。