旋盤のG98・G99送り単位:F0.2とF200が同じ速度になる条件
旋盤のG99回転当たり送り(mm/rev)とG98毎分送り(mm/min)の違い、2つの単位の換算、マシニングセンタのG94・G95との対応、単位の取り違えで起きる事故を例で説明します。
旋盤が回転当たり送りを基本にする理由
旋盤で刃1枚が1回転の間に削る厚みは、回転当たり送りと同じです。切りくずの厚み、面粗さ、インサートの負荷がすべてこの値で決まるため、工具カタログも旋削条件をf(mm/rev)で示しています。そのため旋盤はG99の回転当たり送りを基本に使い、F0.2は「1回転で0.2mm」を意味します。
回転当たり送りの大きな長所は、G96周速一定制御と一緒に使うときに表れます。直径が小さくなって回転数が上がると毎分の移動速度も自動的に速くなり、切りくずの厚みが最初から最後まで同じに保たれます。
2つの単位の換算
毎分送り = 回転当たり送り × 回転数。例のようにS1000固定では、F0.2mm/revは0.2 × 1000 = 200mm/minです。そのため例の2つの旋削は、異なる単位と数値で書かれていても同じ速度で動きます。長さ42mm(Z2 → Z-40)を進むのに、どちらも約12.6秒かかります。
| 条件 | 回転当たり送り(G99) | 毎分送り(G98) |
|---|---|---|
| S500 | F0.2 | F100 |
| S1000 | F0.2 | F200 |
| S2000 | F0.2 | F400 |
| S1000 | F0.1 | F100 |
例の経路
G99 F0.2で1回、G98 F200で1回、同じ長さを旋削(S1000固定)
O3006
T0101
G21 G90 G18 G40
G97 S1000 M03
G99
G00 X42. Z2.
G01 X38. F0.2
Z-40.
G00 X42. Z2.
G98
G01 X36. F200
Z-40.
G00 X100. Z100.
M30上図はこのプログラムをCNC Path Analyzerで解析した結果です (直線切削 4 区間, 早送り 2 区間).
毎分送りが必要な場合
- 主軸が止まっている移動:回転当たり送りは主軸が回っていないと0になります。主軸停止状態で送る必要のある作業(例:バーフィーダの引き出し、一部の測定動作)にはG98を使います。
- 回転工具(フライス)作業:複合加工機でC軸を固定して回転工具でフライス加工するときは、素材が回らないので毎分送りが自然です。
- 主軸の回転が非常に遅い区間:大径の端面加工のように回転数が低いとき、移動速度を一定に確保するために使うこともあります。
回転当たり送りと面粗さ
旋削面には、1回転ごとに送り量だけ離れたインサートの刃先の跡がらせん状に残ります。理論上の最大高さ粗さはRz ≈ f² ÷ (8 × r)で見積もります(f:回転当たり送り、r:刃先半径、単位mm)。刃先R0.8のインサートでF0.2なら0.04 ÷ 6.4 ≈ 0.0063mm、約6.3µmです。送りをF0.1に半分にすると、粗さは約1.6µmと4分の1になります。
この関係があるため、仕上げ条件は毎分送りではなく回転当たり送りで決めるのが自然です。回転数を変えてもF(mm/rev)が同じなら、理論粗さは同じに保たれるからです。実際の面はびびり、構成刃先、材質によってこの値より粗くなることが多いので、出発点としてだけ使ってください。
送り単位の取り違えによる事故
最も危険なのは、G98の状態なのにF0.2のように回転当たりの値を書いた場合です。工具は毎分0.2mm、事実上止まったように動き、刃が素材の表面をこすって加工硬化と工具の損傷を引き起こします。反対にG99の状態でF200と書くと1回転で200mm、つまり早送りに近い速度で素材に入り、工具が破損します。ほとんどの制御装置はFが上限を超えるとクランプしますが、その上限も十分に危険な値です。
そのため、送り単位を切り替えるブロックの後には、必ず新しい単位に合ったFを指令し直します。例でも、G98のすぐ後の移動にF200を一緒に書いています。
マシニングセンタとはコード番号が違う
マシニングセンタでは毎分送りがG94、回転当たり送りがG95で、G98/G99は固定サイクルの復帰高さ(初期点/R点)を意味します。同じG98でも、旋盤では送り単位、マシニングセンタではドリルサイクルの復帰です。旋盤のGコード体系B・Cでは旋盤もG94/G95を使うので、設備のGコード体系を確認する必要があります。
| 意味 | 旋盤(A体系) | マシニングセンタ |
|---|---|---|
| 毎分送り | G98 | G94 |
| 回転当たり送り | G99 | G95 |
| サイクルの初期点復帰 | - | G98 |
| サイクルのR点復帰 | - | G99 |